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【2025/03/11 07:49 】 |
時間外労働
本ブログでは、時間外労働手当に関する裁判例を紹介しています(つづき)。

二 争点及び当事者の主張
1 時間外・深夜割増賃金(残業代)に係る合意の有無(争点1)
【控訴人】
(一)控訴人には、全国一般労組と県自交労組の二つの労働組合があり、従業員のほとんどがいずれかの組合に加入していたところ、控訴人は、昭和五六年、両組合との間で締結した労働協約において、乗務員の賃金につき、基本給六万七六〇〇円、乗務手当一万三〇〇〇円、皆精勤手当五〇〇〇円、超深(ママ)手当(時間外及び深夜勤務(残業)に対する割増賃金(残業代)を含む手当)四万八四〇〇円とし、その合計額一三万四〇〇〇円を固定給とするが、一か月の水揚額が三〇万円未満のときは右固定給を適用せずに水揚額の三〇パーセントを支給する、三〇万円以上のときは三〇万円を超える部分につきその四七パーセントを歩合給として支給することなどを定めた。さらに、同六〇年一二月二一日、県自交労組(当時、被控訴人らを含む控訴人のタクシー乗務員のほとんどは、この組合に所属していた。)との間で締結した労働協約により、基本給・超勤深夜手当(残業代)の金額及び賃金比率につき、本件協定書と同じ内容に改めた。
 このような交渉を積み重ねた上で、控訴人は、県自交労組との間で本件協定を締結しているところ、控訴人の記録によれば、被控訴人山崎佳克らが県自交労組を脱退したのは昭和六一年四月二〇日であるから、本件協定書の成立した同月一〇日時点では、依然として被控訴人らのほとんどが県自交労組の組合員であった。また、被控訴人らが県自交労組を脱退したのは、組合内部での日勤勤務者のグループと二交替勤務者のグループの対立によるものであって、本件協定書の内容に不満があったからではなく、被控訴人らも本件協定書をめぐる団体交渉には参加し、これに合意していたものである。さらに、右当時、県自交労組の組合員は、従業員の四分の三以上を占めていたことは明らかであるから、本件協定は被控訴人らにも適用され、労働条件に関する事項については労働契約の内容となっていることに変わりはない。仮に、そうではないとしても、被控訴人らは、本件協定以前の労働協約の余後効のもとにあることになる。
(二)なるほど、本件協定書の定める控訴人の賃金体系によるとき、結局は、一律歩合給の計算と合致するが、「超勤深夜手当(残業代)(歩合割増含)五万〇六〇〇円」と明記されているとおり、その中に五万〇六〇〇円の超勤深夜手当(残業代)、すなわち、労働基準法三七条の定める時間外・深夜割増賃金(残業代)を含むものであり、これは固定給に対応するものだけではなく、歩合給に対応する割増賃金(残業代)をも含むものであることを「(歩合割増含)」との表現で明確にしている。
 そして、本件協定書による合意は、労働者側が労働に対する最高の対価を求め、使用者側は経営を成り立たせるのにぎりぎりの水揚げに対する支出を計算しようとすること、特にタクシー業務については、時間外労働(残業)、深夜労働(残業)が常態となっていてその割増賃金(残業代)が労働対価のうちの少なからざるウエイトを占めること、しかし、業務の性質上、拘束時間、総労働時間と水揚額は必ずしも比例せず、結局は、労使双方とも水揚額によって労働の評価をせざるを得ないこと、水揚額に基準を置く方が単純な時間単位の給与計算よりも労働能力に応じたものとなって実質的公平が図れること、成績良好な乗務員ほど働きに応じた高額支給を望むこと、割増賃金(残業代)を固定せず、水揚額に応じた歩合給を基準として算出するとその計算は極めて困難なものとなり、いきおい会社としては法定労働時間内の賃金を低く設定せざるを得ないし、乗務員としてはこれに抵抗を感じることなどの実状から、総労働時間は水揚額によって評価し、賃金総額の中に時間外・深夜割増賃金(残業代)を含め、その割増賃金(残業代)を定額として、賃金に関する協定が結ばれたものである。
 そして、本件紛争が起こるまでは長年月にわたってこの方式による賃金が支給されて何らの異議もなかったのであるから、その支給額の中に、時間外・深夜割増賃金(残業代)が含まれているとの合意と十分な理解があったものであり、そのような内容の労働協約、労働契約が成立して遵守されてきたものである。
【被控訴人ら】
(一)本件協定は、控訴人と県自交労組との間で締結されたものにすぎず、被控訴人らは、その締結前に、控訴人の小松島営業所の廃止に伴う労働条件の変更に反対して県自交労組を脱退し、同年三月一九日に結成された全国一般労組の前身の組合に加入したか、その後、新規採用に伴ってこれに加入したものであって、本件協定の適用を直接受けるものではないし、また、労働組合法一七条が定める一般的拘束力が認められる場合でもない。
(二)本件協定書の定める賃金体系によれば、名目上は、月五万〇六〇〇円の超勤深夜手当(残業代)が含まれていることになるが、これは月間の責任水揚額三二万円にそのときの賃金比率四八パーセントを乗じた一五万三六〇〇円から、徳島県の最低賃金に若干の上乗せをした金額に所定労働時間二〇八時間を乗じて得られた基本給や乗務手当・皆精勤手当を控除した残額にすぎず、時間外・深夜割増賃金(残業代)を含むものとはいえない。すなわち、本件協定書に定める超勤深夜手当(残業代)五万〇六〇〇円は、時間外勤務(残業)の時間数に基本給の一二割五分の割合を乗じて計算されたものではなく、単に、責任水揚額が三二万円に、賃金比率四八パーセントを乗じて計算した一五万三六〇〇円を振り分けたにすぎないものである。
(三)控訴人は、タクシー業界における業務実態の特殊性を訴えるが、控訴人の主張を前提とすれば、その賃金体系はむしろ水揚制に合致することが明らかになろう(だからこそ、控訴人はこれまで水揚制を押しつけてきたのである。)。控訴人の賃金体系は、実質的に判断すれば、水揚額による歩合制であって、超勤深夜手当(残業代)なる用語は、単に形式的なものにすぎないことは明らかである。
(証拠略)(賃金明細書)は、控訴人が一方的に作成したものにすぎず、このような書類をもって被控訴人らが割増賃金(残業代)を認めたことにはならない。
2 時間外・深夜割増賃金(残業代)に係る合意の効力(争点2)
【被控訴人ら】
(一)本件協定により時間外・深夜割増賃金(残業代)に係る実質的合意がなされたものでないことは前記のとおりであるが、仮にそのような合意がなされたとしても、その合意は労働基準法三七条の趣旨に反し無効である。また、労働組合は、労働者の団結擁護、労働条件向上のために法認されたものであるという性格上、労働者の労働条件を不利益に変更し得る権限をもつものではなく、そこにはおのずから限界が存するところ、労働組合は、控訴人が主張するような実質的に割増賃金(残業代)を放棄するに等しい内容の協定を締結できないものである。
(二)控訴人は、高知県観光事件の判例等(最高裁平成六年六月一三日判決・判例時報一五〇二号一四九頁、高知地裁平成元年八月一〇日判決・判例タイムズ七二四号一九八頁)を引用して、本件協定による合意が有効であると主張するが、同判例等は、(イ)割増賃金(残業代)の支払方法として、通常時間の賃金と割増賃金(残業代)とを合わせたものを一定の賃率による歩合給とし、これを一律に支払うという形式がとられていた事案について、(ロ)歩合給の中でいくらが割増賃金(残業代)にあたるかをそれ以外の賃金部分と明確に区別することができないことなどから、割増賃金(残業代)が支払われたとすることは困難であるとしたところ、本件協定等の「超勤深夜手当(残業代)」の文言は、あくまで形式的なものであって、実質的には水揚額による歩合制であることは前記のとおりであるから、そもそも(イ)に該当せず、同判例等を議論する以前の問題である。また、(イ)に該当しない以上、通常の賃金部分と割増賃金(残業代)部分が判然と分けられていないことはいうまでもない。

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【2011/03/02 15:36 】 | 残業代の請求
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