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このブログでは、時間外労働についての裁判例を紹介しています。
第二 事案の概要 本件は、被(ママ)控訴人に雇傭されタクシー乗務員として勤務し、又は勤務していた被控訴人らが、労働基準法三七条が定める時間外・深夜割増賃金(残業代)の支払を受けていないとして、控訴人に対し、それぞれ別紙債権目録の未払賃金合計(1)欄記載の未払割増賃金(残業代)及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日からの遅延損害金の支払を求めるとともに、同法一一四条に基づき、平成三年九月分から同五年四月分までの未払割増賃金(残業代)合計額と同一額の同目録の付加金欄記載の付加金の支払を求めた事案である。 (なお、被控訴人松浦和雄及び同岡本一夫は、当審において、それぞれ別紙債権目録の請求金額欄記載の金員及び同未払賃金合計(1)欄記載の金員に対する平成五年一〇月一日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払を求める範囲に、その請求を減縮した。) 一 争いがない事実等 1 当事者等 (一)控訴人は、一般乗用旅客自動車運送事業(いわゆるタクシー業)を営む株式会社であり、その資本金は一三〇〇万円で、肩書地に本社を有し、徳島県鳴門市に営業所を有する。 また、控訴人は、徳島バス株式会社(以下「徳島バス」という。)の一〇〇パーセント子会社である。 (二)被控訴人らは、控訴人のタクシー乗務員として勤務し、又は勤務していた者であり、少なくとも被控訴人らが本件で未払割増賃金(残業代)を請求する平成三年五月から同五年四月までの間(ただし、被控訴人西森由光は同四年三月から同五年四月までの間)控訴人で勤務し、また、全国一般労働組合徳島南海タクシー支部(以下「全国一般労組」という。)の組合員であった(弁論の全趣旨)。 2 被控訴人らの勤務内容 (一)控訴人は、昭和六一年四月一〇日、徳島南海タクシー労働組合及びその上部団体である徳島県自動車交通労働組合(以下、両組合を「県自交労組」という。)と協定書(〈証拠略〉―以下「本件協定書」といい、同協定書による協定を「本件協定」という。)を取り交わしたところ、その付帯協定事項において、乗務員の勤務時間は、次のとおり日勤勤務と二交替勤務とに区分されている。 (1)日勤勤務 就業時刻八時、終業時刻二二時の拘束一四時間、休憩二時間、時間外労働(残業)四時間 (2)二交替勤務 就業時刻九時、終業時刻翌日六時の拘束二一時間、休憩三時間、時間外労働(残業)二時間 被控訴人らが本件協定書の適用を受けるか否かはともかく、前記1(二)の期間、被控訴人らは、右各勤務時間による日勤勤務又は二交替勤務に従事した。 (二)賃金体系 (1)本件協定書第一条により、乗務員の賃金は、基本給八万五〇〇〇円、乗務給一万三〇〇〇円、皆精勤手当五〇〇〇円、超勤深夜手当(残業代)(歩合割増含)五万〇六〇〇円と定められ、さらに、同第二条ないし第四条により、責任水揚額が月三二万円、月間の水揚額がこれを超えたときは、次の賃金比率表の3欄、4欄に従って、水揚額にそれぞれの賃金比率を乗じて得られた金額から右合計金額一五万三六〇〇円を差し引いた額を、歩合加給として一五万三六〇〇円に加算するとされている。右一五万三六〇〇円は、月間の水揚額が責任水揚額三二万円に等しい場合に、そのときの賃金比率四八パーセントを乗じて得られた金額に等しく、水揚額が三二万円を超えた場合の歩合加給をした賃金も、その水揚額に次の表 (賃金比率表) 日勤勤務者水揚 二交替勤務者水揚 賃金比率 1 25万円未満 同上 30% 2 25万円以上32万円未満 同上 40% 3 32万円以上40万円未満 32万円以上38万円未満 48% 4 40万円以上 38万円以上 50% の賃金比率を乗じた金額に等しい。 (2)控訴人と全国一般労組は、昭和六三年三月一九日ころ、前記賃金比率表のうち、二交替勤務者について、2欄の水揚額を「25万円以上30万円未満」に、3欄の水揚額を「30万円以上36万円未満」に、4欄の水揚額を「36万円以上」にそれぞれ変更する旨を合意し、これに伴い、二交替勤務者の基本給が七万九七〇〇円に、超勤深夜手当(残業代)が四万六三〇〇円にそれぞれ減額された(〈証拠・人証略〉)。 (3)控訴人と全国一般労組は、平成三年九月二一日付け確認書により、平成三年六月二四日の運賃改正に伴い水揚額の増大が見込まれることとなったので、同日以降、毎月の水揚額の一〇パーセントを増収分とみなし、その部分については賃金比率を特別に七二パーセントとして歩合加給することを合意した(〈証拠略〉)。 3 徳島労働基準監督署の是正勧告等 (一)全国一般労組は,控訴人の賃金体系が歩合制であり、割増賃金(残業代)が未支給であるとして、平成元年三月二〇日以降、控訴人に対してその支払の要求を続けるとも(ママ)に、徳島労働基準監督署に申告書を提出して控訴人に対する指導を求めてきたが、同監督署は、同四年二月二八日付けで、控訴人に対し、割増賃金(残業代)を支払うようにとの是正勧告をなした。 (二)右是正勧告に基づき、全国一般労組は未払賃金の支払を求めたが、控訴人は、一律に一〇万八〇〇〇円を支払うことで一切を解決し、将来的には時間外手当(残業代)を支払わない旨を回答したため、全国一般労組は、右回答を拒否し、本件訴訟に至った。 企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、顧問弁護士契約をしている弁護士にご相談ください。また、個人の方で、相続や遺言、交通事故の示談・慰謝料、不当な整理解雇、敷金返還請求(原状回復)やご家族逮捕などの刑事弁護士への相談が必要な刑事事件、借金返済の相談などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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